
2026年4月24日 New Relic アップデート解説
はじめに
本記事は New Relic 株式会社が Qiita に投稿した 「New Relic アップデート(2026年3月)」 をベースに、2026年3月に発表された New Relic の主要アップデート 4 件をまとめます。公式ブログは こちら。
今回の 4 件は以下。
- New Relic Lens(Public Preview 開始) — 外部データソースに直接クエリしてテレメトリと結合分析
- AI Agent Monitoring(Public Preview 開始) — AI エージェント同士のつながりと処理フローを可視化
- Agent Control(Public Preview 開始) — Windows の Infrastructure エージェントを New Relic UI から遠隔制御
- Go エージェント計装の簡略化ツール(リリース) — 自動計装で Go アプリを数分で観測可能に
月次まとめのため件数は 4 件ですが、中身は Public Preview 3 件+ GA 1 件。Lens と AI Agent Monitoring は特に Preview 段階のため、本番投入前に機能制限やサポート範囲を公式ドキュメントで確認しておく必要があります。
注目アップデート深掘り
1. New Relic Lens: 外部データソースへの直接クエリ

Qiita 記事より(引用):
SnowflakeやGoogle Sheets、データベースなど多様な外部データソースに対して直接クエリを実行して分析できるNew Relic LensのPublic Previewが開始されました。外部データの取り込みが不要でクエリを実行できるため、取り込みにかかる時間を大幅に短縮し、すぐにテレメトリーデータとビジネスデータを結合した相関分析が可能です。
ポイント
- 対象データソースは Snowflake / Google Sheets / データベース などの外部システム
- データ取り込み不要(New Relic に事前にコピー・ETL する必要がない)
- テレメトリデータ(APM / Infrastructure / Logs)と外部ビジネスデータの相関分析が可能
- 現状は Public Preview
従来、New Relic の分析対象は New Relic 側に取り込んだデータに限定されていました。Snowflake に蓄積された売上データや Google Sheets で管理されているデプロイスケジュールなどは、別ダッシュボードを行き来して手動で突き合わせる必要があったと思います。Lens はこのギャップを、外部データソースへの直接クエリという形で埋める方向性の機能です。
具体的な NRQL 構文や接続設定、サポートされるデータソースの全リストは、Public Preview 段階のため公式ドキュメントを参照してください(本記事ではドキュメントにない構文を推測で書きません)。
SRE 視点での使いどころ
インシデント対応で「CPU 急増のタイミングでビジネス側の注文ピークと重なったか」「デプロイ直後にエラー率が跳ねたか」といった相関を、ダッシュボードを切り替えずに 1 箇所で見られるようになる見込みです。Preview 段階の今は、まず 1 データソース(たとえば Snowflake の主要メトリクス)で接続を試し、既存ダッシュボードとの併用で運用にハマるかを検証するのが現実的な入り口です。
2. AI Agent Monitoring: AI エージェントの観測

Qiita 記事より(引用):
AIエージェント同士の繋がりや複雑な処理のフローを可視化し、複雑なAIサービスにおける問題の発生箇所や根本原因の特定が容易にできるようになりました。また、AIの品質とモデルのガバナンスがスコア化され、客観的な指標を元に改善すべきか正確な意思決定ができるようになります。Public Previewで提供開始です。
ポイント
- AI エージェント同士の繋がり / 処理フローの可視化 に焦点
- 問題発生箇所と根本原因の特定を、エージェント呼び出しグラフの上で行える
- AI の品質とモデルのガバナンスがスコア化され、客観指標で改善判断に使える
- Public Preview
前リリースの APM / Distributed Tracing の「マイクロサービス版」を AI エージェントに置き換えた位置付けの機能です。オーケストレーション型のエージェント構成(親エージェントが複数のサブエージェントを呼び出す、ツール呼び出しで外部 API を叩くなど)で、どこで応答品質が落ちているか、どこでレイテンシが膨らんでいるかを追いやすくします。
使いどころ
LLM ベースのエージェントを本番で動かしているチーム向け。モデルのバージョン入れ替えや RAG 構成の変更を行う際に、品質スコアの推移で回帰がないかを継続的に見られるようになるのが Preview 段階での主な価値です。Public Preview のため、対応するエージェントフレームワーク・計装方法は公式ドキュメントを参照してください。
3. Agent Control: Windows Infrastructure エージェントの遠隔管理
Qiita 記事より(引用):
WindowsのInfrastructureエージェントのインストール、設定などをNew Relic UI上から遠隔制御できる機能のPublic Previewが開始されました。エージェントのインストールや設定更新の作業をホスト毎に実施する必要がなくなり、エージェント管理の運用負荷を大幅に軽減することができます。
Windows ホスト上の Infrastructure エージェントの管理を New Relic UI 側に寄せる機能。ホストごとに RDP ログインしてインストール・設定ファイル編集を行っていた運用を、Web UI からの遠隔操作に置き換えられます。Public Preview、現時点では Windows が対象。
Ansible / PowerShell DSC / SCCM などの既存構成管理ツールで Windows の Infrastructure エージェントを管理しているチームにとっては、置き換えるか併存させるかの判断ポイントです。Agent Control のスコープ(どの設定項目をカバーするか、エージェントのバージョンアップもカバーするか)は公式ドキュメントで確認が必要。
4. Go エージェント計装の簡略化ツール
Qiita 記事より(引用):
Goエージェントの計装を簡略化するツールがリリースされました。アプリケーションを計測するためのコード埋め込みを自動計装ツールで簡略化できるため、エージェントの設定に費やす時間を短縮し、本質的なビジネスロジックの実装に専念できます。
Go アプリケーションへの計装コードの埋め込みを自動化するツールがリリースされました。従来、Go エージェントは各 HTTP ハンドラや DB クエリに newrelic.StartTransaction などの呼び出しを手動で追加する必要がありましたが、このツールで自動計装に寄せられます。
利用方法の詳細(対象フレームワーク、サポートされるライブラリ、CI への組み込み方など)は公式ブログと GitHub の newrelic/go-agent リポジトリを参照してください。
SRE視点での活用ポイント
まず手をつけるべきはどれか
4 件のうち、既存運用への影響が大きいのは以下の順で判断できます。
- Agent Control(Windows Infra エージェントを運用している場合): 構成管理ツールとの棲み分けを先に整理する価値がある
- New Relic Lens(Snowflake / DB に業務データを持っている場合): インシデント対応での相関分析の入り口として Preview を試す
- Go エージェント計装ツール(Go で本番運用している場合): 新規アプリに先行投入して手間の削減幅を見る
- AI Agent Monitoring(LLM エージェントを本番で動かしている場合): 該当チームがなければ優先度は低め
Preview 機能を本番に入れる前に確認すること
今回の 3 件は Public Preview のため、本番投入前に以下は押さえておく必要があります。
- SLA とサポート範囲(Preview 期間中は通常 SLA 対象外)
- GA 時の課金モデル(Preview 無料、GA で有償化されるケース)
- 対応リージョン / データレジデンシー
- 既存のデータ管理ポリシー(外部データソース連携の場合、Lens が送信する情報の範囲)
特に Lens は外部データソースへのクエリ実行が入るため、接続先の認証情報管理と、Lens 経由で発行されるクエリのアクセスログが組織のデータ統制要件に収まるかの確認が要ります。
2026年3月時点のまとめ
月次アップデートの方向性としては、外部データとの連携強化(Lens)と エージェントまわりの運用自動化(Agent Control、Go 計装簡略化)、そして AI ワークロード向け観測(AI Agent Monitoring)の 3 軸に整理できます。いずれも Preview / リリース初期段階のため、本番導入はまだ慎重に進める時期ですが、Preview で触って手触りを確認しておく価値はあります。
全アップデート一覧
| # | 機能 | ステータス | 概要 |
|---|---|---|---|
| 1 | New Relic Lens | Public Preview | Snowflake / Google Sheets / DB など外部データソースへ直接クエリ。取り込み不要でテレメトリと結合分析 |
| 2 | AI Agent Monitoring | Public Preview | AI エージェント同士のつながり・処理フロー可視化。AI 品質とモデルガバナンスのスコア化 |
| 3 | Agent Control | Public Preview | Windows の Infrastructure エージェントのインストール・設定を New Relic UI から遠隔制御 |
| 4 | Go エージェント計装の簡略化ツール | リリース | Go アプリへの計装コード埋め込みを自動化 |
まとめ
2026 年 3 月の New Relic アップデートは、外部データとの結合(Lens)、AI エージェント運用の観測(AI Agent Monitoring)、エージェント配布・管理の省力化(Agent Control、Go 計装簡略化)という 3 つのテーマで整理できます。
4 件のうち 3 件が Public Preview なので、本番に一気に入れるというより、既存運用で痛みがあるところから 1 つ選んで Preview を試すのが現実的な進め方です。Windows の Infra エージェント運用が重いチームは Agent Control、ビジネスデータとの突合が手作業になっているチームは Lens、Go 計装で開発者に負担がかかっているチームは Go エージェントツール、という形で選ぶのが素直です。
Preview の制約(SLA 対象外、対応リージョン、GA 時の課金モデル)を確認した上で、手元で触っておくと GA になったときの導入がスムーズになるはずです。