
OpenAI Codex CLI rust-v0.128.0 リリース解説
はじめに
2026年5月1日、OpenAI Codex CLI の rust-v0.128.0(GA)がリリースされました(公開: 2026-05-01 01:40 JST)。直前のメジャー GA は rust-v0.125.0(4月24日)で、rust-v0.126.0 は alpha のみで GA に至らず、v0.125.0 → v0.128.0 へ番号がジャンプしています。本記事では、v0.125.0 以降の積み上げを集約した GA としての v0.128.0 を整理します(rust-v0.127.0 は公開されていません)。
主なテーマは以下の通りです。
- 永続化された
/goalワークフロー:作成・一時停止・再開・クリアを TUI とアプリサーバー API から制御 codex updateコマンド と 設定可能な TUI キーマップ、プランモードの提案、ステータスライン編集- パーミッションプロファイルの GA:ビルトインデフォルト、サンドボックス CLI プロファイル選択、cwd 制御、アクティブプロファイルメタデータ
- プラグインのマーケットプレイス導入、リモートバンドルキャッシュ、リモートアンインストール、外部エージェント設定インポート
- 外部エージェントセッションのインポート(背景処理・タイトル取り扱い対応)
- MultiAgentV2 の設定明示化:スレッド上限、待機時間、ルート/サブエージェントヒント
--full-autoの非推奨化(明示的なパーミッションプロファイル/Trust フローへの移行を推奨)
参考: GitHub Release rust-v0.128.0 / Full Changelog (v0.125.0 → v0.128.0)
注目アップデート深掘り
永続化された /goal ワークフロー
v0.128.0 の目玉は、/goal ワークフローの永続化です(#18073, #18074, #18075, #18076, #18077, #20082)。ゴールは作成・一時停止・再開・クリアといったライフサイクルを持ち、アプリサーバー API、モデルツール、ランタイムの継続実行、TUI コントロールが揃った形で提供されます。
実務上のメリットは、長時間にわたるタスクをセッションをまたいで追跡できる ことです。たとえば「リファクタリング全体を段階的に進める」「複数 PR にまたがる変更を計画的に消化する」といったケースで、Codex 側に「ゴール」を保存しておき、後日 /goal resume で続きから再開できます。一時停止中のゴールは /goal resume で復帰させる挙動が固定化されており、別のスレッドからの中断でも状態が壊れません。
パーミッションプロファイルの GA 化
v0.126.0-alpha 系で進んでいた サンドボックスパーミッションプロファイル が、本リリースで GA 級の整備 にまで仕上がりました。具体的には以下が組み合わさっています。
- ビルトインデフォルトプロファイル(#19900)— よくある運用パターンを名前で参照可能
- CLI からの明示的サンドボックスプロファイル選択(#20117)と設定コントロール(#20118)
- cwd 制御(#19841 で legacy な特殊パス削除、#19414 で legacy 変換を cwd-free 化)
- アクティブプロファイルのメタデータをクライアントに公開(#20095)
これに対応して、--full-auto は非推奨(#20133)となり、CI / 自動化スクリプトは「プロファイル名で起動モードを指定」する形に移行する想定です。alpha 段階で導入されていた permissions: remove cwd special path / permissions: store thread sessions as profiles などの内部リファクタも GA に取り込まれました。
codex update と TUI 体験の改善
codex update コマンドが追加され(#19933)、CLI を CLI 自身からアップデートできます。あわせて、設定可能な TUI キーマップ(#18593)、プランモードの提案(#19901、composer ドラフトからプランモードへ誘導)、アクションが必要なときのターミナルタイトル変更(#18372)、アクティブターン中の /statusline / /title 編集(#19917)が入りました。
地味に効くのが、/skills のインクリメンタル検索や長 URL を任意の行クリックでフルオープンといった TUI の細部改善(v0.126.0-alpha 系から取り込み)と、Ctrl+D でサイドチャットから戻る(#20282)、ターミナルリサイズ時のリフロー(#18575)、Markdown リストのスペーシング保持(#19706)といったノイズ低減系のフィックスです。
プラグイン体験:マーケットプレイス + リモートアンインストール
プラグイン周りは GA で大きく前進しました。
/pluginsマーケットプレイスインストールフロー(#18704)- リモートプラグインバンドルのキャッシュ(#19914)
- リモートアンインストール API(#19456)
- プラグインに同梱されたフックの検出(#19705)
- 永続化された hook 有効状態(#19840)
- 外部エージェント設定(MCP / Subagents / hooks / commands)のインポート(#19949)
- スキル / MCP 用のリモートインストールキャッシュ(#20096)
社内配布のプラグインを抱えるチームには、バンドルのキャッシュ&リモートアンインストール が運用面で大きいです。Bedrock 経由でも、Bedrock Mantle エンドポイントの更新(#20109)、apply_patch ツールの Bedrock モデル対応(#19416)、Bedrock GPT-5.4 reasoning levels 修正(#19461)が同時に入っており、エンタープライズ運用のフットプリントが着実に広がっています。
外部エージェントセッションのインポート
外部エージェントとのセッション統合も整備されました。
- External agent session support(#19895)
- 背景でのインポート(#20284)
- インポート済みセッションのタイトル取り扱い(#20261)
別ツール上で進めた作業ログ(メタデータ/タイトル/コンテキスト)を、Codex CLI 側に取り込んで継続できるようになります。複数の AI ツールを併用するチームの実務に響く統合です。
実用的な活用ポイント
CI / 自動化スクリプトの --full-auto 移行
--full-auto は 非推奨化済み(#20133)。GA で削除された後の事故を避けるため、CI / 自動化スクリプトを 明示的なパーミッションプロファイル指定に書き換えるのが優先タスクです。feat(cli): add sandbox profile config controls(#20118)により、設定ファイル側でのプロファイル切り替えが完結するため、環境変数で profile 名を渡すだけのシンプルな構成にできます。
Bedrock 経由運用での再検証
Bedrock Mantle エンドポイント更新と GPT-5.4 reasoning levels 修正が GA に入ったため、本番投入前に dev / staging で接続性 + ツール呼び出し(特に apply_patch)を再検証しておくと安全です。feat: disable capabilities by model provider(#19442)と feat: expose provider capability bounds to app server clients(#20049)の組み合わせにより、対応していないモデルへの構造化出力呼び出しは事前に抑制される動きになっています。
Windows / プロキシ環境
Windows の連続フィックス(pseudoconsole、elevated runner プロセス、core shell env vars 継承、named-pipe バリデーション)と、network-proxy の連続修正(IPv6 ホストマッチング、git -C の自動承認除外、proxy bypass 厳格化、deferred denials の処理)が GA に取り込まれました。Windows / プロキシ越しの運用チームには、本リリースを目安に展開を進めるのが推奨です。
主な変更点(v0.125.0 → rust-v0.128.0)
| カテゴリ | 領域 | 概要 (主要 PR) |
|---|---|---|
| Feature | Goal | 永続化 /goal ワークフロー:作成 / 一時停止 / 再開 / クリア(#18073-18077, #20082) |
| Feature | CLI | codex update コマンド追加(#19933) |
| Feature | TUI | 設定可能なキーマップ(#18593)、プランモードの提案(#19901) |
| Feature | TUI | アクション必要時のターミナルタイトル表示(#18372)、アクティブターン中の /statusline / /title 編集(#19917) |
| Feature | Permissions | ビルトインデフォルトプロファイル(#19900)、CLI プロファイル選択(#20117 / #20118)、cwd 制御、アクティブプロファイルメタデータ(#20095) |
| Feature | Plugin | /plugins マーケットプレイスインストール(#18704)、リモートバンドルキャッシュ(#19914)、リモートアンインストール(#19456)、外部エージェント設定インポート(#19949)、永続化 hook 有効状態(#19840) |
| Feature | External agent | セッションインポート + 背景処理 + タイトル処理(#19895, #20284, #20261) |
| Feature | MultiAgent | スレッド上限、待機時間、ルート/サブエージェントヒントの明示化(#19360, #19792, #19805, #20052, #20180) |
| Deprecation | CLI | --full-auto を非推奨化、明示的プロファイル / Trust フローへ誘導(#20133) |
| Fix | Resume / interrupt | 古い割り込みハング、永続化プロバイダー復元、巨大なリモート resume レスポンス、フィルタ済み resume リスト(#18392, #19287, #19920, #19591) |
| Fix | TUI | リサイズリフロー、Markdown リストスペース、スラッシュコマンドポップアップ、キーボードクリーンアップ、空シェルモードの ESC、作業状態の再表示(#18575, #19706, #19511, #19625, #19986, #19939) |
| Fix | Network proxy | deferred 拒否、bypass デフォルト厳格化、解決ターゲット再チェック、IPv6 ホストマッチング、git -C 自動承認除外(#19184, #20002, #19999, #19995, #20085) |
| Fix | Windows | pseudoconsole、elevated runner、core shell env 継承、named-pipe 検証(#20042, #19211, #20089, #19283) |
| Fix | Bedrock | apply_patch 対応、GPT-5.4 reasoning levels、Mantle エンドポイント / モデルメタ(#19416, #19461, #20109) |
| Fix | MCP / Plugin | stdio サーバーのクリーンアップ、プラグイン MCP 承認の永続化、カスタム MCP メタデータ分離(#19753, #19537, #19836, #19875) |
| Docs | OpenAI Docs skill | GPT-5.5 / gpt-image-2 / アップグレードガイド更新(#19407, #19443, #19422) |
| Chores | Release / CI | codex-app-server リリース成果物公開、GNU Linux バイナリ公開停止、リリースワークフローのタイムアウト引き上げ(#19447, #19445, #20271, #20343) |
まとめ
rust-v0.128.0 は、v0.126.0-alpha 系で蓄積してきた パーミッションプロファイルの整備 や プラグイン体験の刷新 を、/goal 永続化・codex update・外部エージェントセッションインポートといった目玉機能と合わせて GA に乗せた、集大成リリースです。rust-v0.127.0 を飛ばして 0.128.0 に着地している点も、alpha フェーズで一気に積み上げて GA で総括する OpenAI Codex CLI チームのリリーステンポを反映しています。
CI / 自動化スクリプトを抱えるチームは、--full-auto 非推奨対応とパーミッションプロファイル名指定への切り替えが目下の宿題です。Bedrock 経由運用や Windows / プロキシ運用の現場でも、GA の取り込みを目安にローリングアップデートを進めるとよいでしょう。