今回は、直近で発表された11件のAWSアップデートを紹介します

はじめに

今回は、直近で発表された11件のAWSアップデートを紹介します。Lambda Managed Instances での90分タイムアウトと Graviton5 対応、OpenAI GPT-6 Astra の Amazon Bedrock での一般提供など、コンピューティングとAIの領域の機能強化が並びます。また、運用効率を高める Systems Manager の診断機能拡張、SageMaker Feature Store の書き込み最適化、API Gateway のバックエンドmTLS対応など、エンタープライズ運用に直結する改善も含まれています。本記事では Lambda の90分タイムアウトと AWS Transform for .NET の CLI 対応を深掘りし、SRE視点での活用ポイントを整理します。

注目アップデート深掘り

AWS Lambda 90分タイムアウト対応 - 長時間実行ワークロードのサーバーレス化

AWS Lambda が Lambda Managed Instances 上で、非同期呼び出しおよびイベントソースマッピング(ESM)呼び出しに対して、関数タイムアウトを最大90分に拡張しました。これまでの15分制限から6倍の拡張となります。

なぜこのアップデートが重要なのか

告知によると、メディアトランスコーディング、金融計算(モンテカルロシミュレーションなど)、AI 推論のように長い連続実行が必要なワークロードでは、15分の制限のためにアーキテクチャ上の回避策が必要でした。今回の変更で、こうしたジョブをアプリケーションを作り直さずに Lambda で実行できます。

Lambda Managed Instances とは

告知では Lambda Managed Instances を、インフラを管理せずに、インスタンスごとに複数の同時リクエストを処理し、特殊なコンピュート構成を使い、EC2 の価格面の利点でコスト効率を高められるものと説明しています。

タイムアウト拡張の適用範囲と制約

重要な点として、90分タイムアウトは非同期呼び出しとイベントソースマッピング(ESM)呼び出しのみに適用されます。同期呼び出しは従来通り15分制限のままです。この違いを理解した上で、ワークロードの呼び出しパターンを設計する必要があります。

非同期呼び出しは呼び出し元がレスポンスを待たない呼び出し方(S3 イベント通知や EventBridge など)、ESM 呼び出しは SQS・Kinesis・DynamoDB Streams などのイベントソースを Lambda がポーリングして実行する呼び出し方です。

Durable Functions との組み合わせ

延長されたタイムアウトは、ステップのチェックポイントと再生ができる Lambda durable functions 内の呼び出しにも適用されます。非同期で呼び出した場合、複数ステップの durable execution は最長1年間実行できます。

設定方法

90分までのタイムアウトは、Lambda コンソール、AWS CLI、Lambda API、IaC ツール、Agent Toolkit for AWS で設定できます。Lambda Managed Instances が提供されているすべてのリージョンで利用できます。

Note: 実装時は、タイムアウト延長に伴うエラーハンドリング、リトライ戦略、コスト試算を事前に検討してください。同じワークロードを ECS や EC2 で実行する場合との価格比較も重要です。

AWS Transform for .NET - CLI による大規模モダナイゼーション自動化

AWS Transform custom で、AWS が管理する .NET モダナイゼーション用の変換が一般提供され、1行の CLI コマンドで実行できるようになりました。対話的に実行することも、既存のパイプラインやワークフローにスクリプトとして組み込んで自律的に実行することもできます。

AWS Transform の機能

AWS Transform は、AWS 管理の変換とカスタム変換を組み合わせて、大規模なコード変換を実現します。対応する変換タスクは以下の通りです:

  • 言語バージョンのアップグレード
  • フレームワークの移行
  • パフォーマンス最適化
  • コードベース分析

CLI は、既存の AWS Transform for .NET の提供形態(Web アプリケーション、Visual Studio IDE、Kiro Power、MCP エージェント)を補完するものです。

CLI の利点:対話的実行と自動化の両立

CLI 対応により、以下の2つの運用パターンが可能になります:

対話的実行: 開発者が手元で変換を実行し、結果を確認しながら進められます。

自律的な実行: 既存のパイプラインやワークフローにスクリプトとして組み込んで実行できます。

コスト効率

.NET モダナイゼーションの変換には、毎月 50,000 エージェント分(agent minutes)の無料枠が含まれます。

利用可能リージョン

AWS Transform custom と AWS Transform for .NET は、米国東部(バージニア北部)、アジアパシフィック(ムンバイ、東京、ソウル、シドニー)、カナダ(中部)、欧州(フランクフルト、ロンドン)の8リージョンで利用できます。

Note: 具体的な CLI コマンド体系や設定ファイルフォーマットについては、AWS 公式ドキュメントを参照してください。移行対象のアプリケーションの複雑さによって、変換後の手動調整が必要になるケースもあります。

SRE視点での活用ポイント

Lambda 90分タイムアウトの運用シナリオ

15分に収まらないという理由で Lambda 以外を選んでいたワークロードのうち、非同期または ESM で呼び出すものは、Lambda Managed Instances 上で実行する選択肢が生まれました。

ただし、導入前には以下の点を検討すべきです:

  • コスト試算: Lambda Managed Instances は EC2 価格ベースのため、既存の ECS や EC2 運用と比較して TCO を算出する
  • リトライ戦略: 長時間実行の失敗時の影響範囲を考慮し、適切なエラーハンドリングとリトライポリシーを設計する
  • 呼び出し方式: 同期呼び出しは引き続き15分が上限のため、対象ワークロードが非同期または ESM で呼び出されているかを確認する

Systems Manager の診断機能拡張による障害対応の効率化

Systems Manager の診断機能が、EC2 インスタンスやハイブリッドアクティベーションしたノードが Systems Manager の管理対象にならない原因について、新たに6つのカテゴリ(IAM 権限、SSM Agent のバージョン、インスタンスのステータスチェック、OS の設定、Default Host Management Configuration、ハイブリッドアクティベーション)を識別できるようになりました。

一部の問題は、コンソールから Systems Manager Automation のランブックを実行して解消できます。

新しくデプロイしたインスタンスが Systems Manager に管理されない場合の切り分けに使えます。

注意点として、実行したランブックには通常の Automation 使用料がかかります。

.NET モダナイゼーションの段階的導入

AWS Transform for .NET の CLI 対応により、.NET のモダナイゼーションを既存のパイプラインに組み込めるようになりました。まず小規模なプロジェクトで変換結果を検証し、段階的に対象を広げる進め方が取れます。

パイプラインに組み込む場合は、変換後のコードのレビューとテストを必ず通す構成にします。毎月 50,000 エージェント分の無料枠の範囲で試し、変換結果と手作業での調整量を確かめてから対象を広げられます。

全アップデート一覧

サービスアップデート概要リンク
Amazon Connectタスクとメールに対して個別の容量制限を設定可能に詳細
AWS Transform.NET モダナイゼーションの AWS 管理変換が一般提供、1行の CLI コマンドで実行可能に詳細
AWS LambdaLambda Managed Instances で90分タイムアウトをサポート詳細
AWS Systems ManagerEC2 インスタンスが管理対象外になる原因の診断に6カテゴリを追加詳細
AWS LambdaGraviton5 搭載 EC2 インスタンスをサポート詳細
Amazon BedrockConfluence Data Center をネイティブデータソースコネクタとして対応詳細
Amazon Bedrockドキュメントレベルアクセス制御のデバッグ用 API とコンソール機能を追加詳細
Amazon API Gatewayバックエンド統合向けの相互TLS(mTLS)をサポート詳細
Amazon BedrockOpenAI GPT-6 Astra を一般提供開始詳細
Amazon SageMakerFeature Store で個別フィーチャー更新をサポート詳細
Amazon TimestreamInfluxDB 3 でカスタム Python プラグインをサポート詳細

まとめ

今回紹介したアップデートは、大きく3つのテーマに分類できます。

1つ目は、コンピューティングの柔軟性向上です。Lambda Managed Instances で、非同期・ESM 呼び出しの90分タイムアウトと Graviton5 搭載 EC2 インスタンスがサポートされました。

2つ目は、AIと生成系サービスの強化です。OpenAI GPT-6 Astra の Bedrock 対応、Confluence Data Center のネイティブコネクタ追加、ドキュメントレベルアクセス制御のデバッグ機能など、Bedrock まわりの機能が追加されています。

3つ目は、運用効率と自動化の改善です。Systems Manager の診断機能拡張、AWS Transform の CLI 対応、SageMaker Feature Store の書き込み最適化、Timestream のカスタムプラグインなど、運用まわりの改善が加わりました。


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