
はじめに
2026年4月7日のAWSアップデートは6件です。S3でSSE-C(顧客提供キーによるサーバーサイド暗号化)がデフォルト無効になる変更のロールアウトが始まりました。Verified Permissionsにはポリシーストアエイリアスと名前付きポリシーが追加されています。
注目アップデート深掘り
Amazon S3 — SSE-C デフォルト無効化のロールアウト開始

S3が新規・既存バケットでSSE-C(Server-Side Encryption with Customer-provided keys)をデフォルト無効にする変更を展開し始めました。2025年11月に予告されていたもので、4月6日から数週間かけて37リージョン(中国・GovCloud含む)に順次適用されます。
SSE-Cは、暗号化キーをリクエストごとにユーザーが提供する方式です。AWSがキーを保持しないため鍵管理の負担が大きく、誤ったキー運用によるデータ復旧不能のリスクもありました。今回の変更で、意図せずSSE-Cを使ってしまうケースを防ぎます。
影響範囲の整理:
| 対象 | 動作 |
|---|---|
| 新規バケット | SSE-Cは自動的に無効 |
| 既存バケット(SSE-Cオブジェクトなし) | 新規書き込みでSSE-Cが無効化 |
| 既存バケット(SSE-C使用実績あり) | 変更なし |
SSE-Cを意図的に使っている場合は影響を受けません。現在の暗号化設定を確認するには以下のコマンドが使えます:
# バケットの暗号化設定を確認
$ aws s3api get-bucket-encryption --bucket my-bucket
多くの環境ではSSE-S3やSSE-KMSを使っているため、実質的な影響は限定的です。ただし、IaCで明示的にSSE-C設定を管理しているなら、デフォルト値との整合性を terraform plan 等で確認しておくと安心です。
Amazon Verified Permissions — ポリシーストアエイリアスと名前付きポリシー
Amazon Verified Permissionsとは? Cedar言語ベースのマネージド認可サービスです。アプリケーションの権限管理をコードから切り離し、ポリシーとして宣言的に記述できます。IAMがAWSリソースへのアクセス制御を担うのに対し、Verified Permissionsはアプリケーション内のユーザー操作の認可を担います。
ポリシーストアに人間が読めるエイリアスを付けられるようになりました。加えて、ポリシーやテンプレートにも意味のある名前を付けられます。
マルチテナント環境では、テナントごとにポリシーストアを分けるのが一般的です。これまではシステム生成のUUID(ps-aBcDeFgHiJkLmNoP のような文字列)でしか参照できず、テナントIDとポリシーストアIDの対応表を自前で管理する必要がありました。エイリアスを使えば tenant-acme-prod のような名前で直接API呼び出しができます。
ポリシー自体も同様です。policy-abc123 ではなく admin-read-all-documents のように命名できるようになったことで、監査やデバッグ時の視認性が上がります。
対応リージョンはVerified Permissionsが利用可能な全リージョンです。
実用的な活用ポイント
S3 SSE-Cデフォルト無効化は、ほとんどの環境で対応不要です。SSE-S3やSSE-KMSを使っていれば影響なし。ただし、aws s3api put-object --sse-c-algorithm を使っているスクリプトやアプリケーションがある場合は事前検証をおすすめします。
Verified Permissionsのエイリアス・名前付きポリシーは、地味ですが運用改善効果が大きい変更です。ポリシー管理のIaC化やCI/CDパイプラインでの参照がUUIDから名前ベースになるため、コードレビューやトラブルシュート時の認知負荷が下がります。
FSx for OpenZFSのメルボルンリージョン対応は、オーストラリアにインフラを持つ組織向け。メルボルンリージョンは2022年開設と比較的新しいため、ストレージ系サービスの対応が追いついてきた形です。
全アップデート一覧
Smithy-Javaとは? AWSが開発したオープンソースのJavaクライアント生成フレームワークです。Smithyモデル(AWSのAPI定義言語)から型安全なクライアントコードを自動生成します。Java 21の仮想スレッドを活用し、非同期パターンなしでシンプルなブロッキングAPIを記述できるのが特徴です。
| サービス | アップデート内容 | リンク |
|---|---|---|
| Amazon S3 | SSE-C(顧客提供キー暗号化)を新規・既存バケットでデフォルト無効化開始 | 詳細 |
| Amazon RDS for Oracle | Oracle Management Agent version 24.1.0.0.v1 サポート(Oracle Enterprise Manager Cloud Control 24aiR1 対応) | 詳細 |
| Amazon FSx for OpenZFS | AWS Asia Pacific (Melbourne) リージョンで提供開始 | 詳細 |
| Smithy-Java | Java 21仮想スレッド対応のクライアント生成フレームワークがGA | 詳細 |
| Amazon WorkSpaces Personal | PrivateLink VPCエンドポイントに一意のDNS名をサポート | 詳細 |
| Amazon Verified Permissions | ポリシーストアエイリアスと名前付きポリシー・テンプレートを追加 | 詳細 |
まとめ
S3のSSE-Cデフォルト無効化は、昨年11月の予告どおり粛々と進んでいます。影響範囲は限定的ですが、SSE-Cを使っている環境では設定確認を。Verified Permissionsのエイリアス・命名機能は、マルチテナント環境でのポリシー管理が楽になる実用的な改善です。
残りはリージョン展開、バージョン更新、フレームワークGA、PrivateLink機能追加と、手堅いアップデートが並んだ日でした。